占星術師のTomomi(@tomomi_333489)です。
前回は「イングランド王・ヘンリー8世」のホロスコープ記事を書きましたが、今回は「6人の妻とトランジットの影響②」を読み合わせていきます。
今回登場するヘンリー8世の妻は、ジェーンシーモア・アンオブクレーヴスの2人です。
この記事の目次
前回のあらすじとリンク
イングランド王・ヘンリー8世は生涯で6人の妻を娶り、婚姻中でありながら気になった女性と結婚したいがためにローマ・カトリックをやめてイングランド国教会を作り婚姻の無効を主張したり、妻2人を斬首刑にしたり・・なかなかヘビーな人物です(^-^;
前回記事リンク
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1491/06/28(ユリウス暦)誕生
1502/04/02 兄・アーサー死去(埋葬4/25・ウスター大聖堂)
1503/06/23 キャサリンとの婚約
1508~1516 カンブレー同盟戦争
1509/04/21 ヘンリー7世崩御・ヘンリー8世即位
1509/06/11 ヘンリー8世・キャサリンと結婚
1509/06/30 戴冠式
1532~1537 イングランド国王と教皇の関係の変革と、イングランド国教会の創設に関わる数々の法令を発布
1533/01 アン・ブーリンと結婚
1534/ 国王至上法公布・イングランド国教会設立(正式にローマから分かれたのは1559年)
1536/05/19 アン・ブーリン処刑・翌日ジェーン・シーモアと結婚
1537/10/12 エドワード6世誕生 10/24 ジェーン・シーモア死去
1540/01/16 アン・オブ・クレーヴスと結婚 06/19離婚・キャサリン・ハワードと結婚
1541 アイルランド王となる
1542/02/13 キャサリン・ハワード処刑
1543/07/12 キャサリン・パーと結婚
1547/01/28 ヘンリー8世死去・55歳
6人の妻と世継ぎ問題
注目ポイント
- イギリス王室は蟹座10度前後に惑星やポイントがある
- 子どもが産めないのは女性の責任という価値観
- ホロスコープ上の月(妻)の状態を観察する
- この時代はユリウス暦(ホロスコープもユリウス暦で見ています)
ヘンリー8世は兄アーサーが亡くなることで王位継承者として躍り出ます。
兄が亡くなった時のホロスコープは、ヘンリー8世ネイタルの水星土星180度に対して土星側に海王星が重なります。
水星を兄弟と考え、土星を厳しい病状と捉えると、トランジットの海王星という病・感染症を患うと読めます。
更に、ネイタルの冥王星に対して180度を取るトランジットの火星は生命の危機的状況を表し、この火星は涙の度数と呼ばれる29度を取っています。
即位したとき(1509年4月21日)は、「正午は最も縁起の良い時間とされた」ことから戴冠式や結婚式が行われることが多いようです。
この日、12:00でチャートを作ると、太陽と火星がMCと重なり、この国の王だと言わんばかりのチャートとなっています。
太陽火星に対して、海王星がスクエアを取っているのも気になるところ。
期待するものも大きいけど、それ以上に落胆もしやすく依存傾向も強くなります。
子宝は・・というと、8ハウスの天王星は突然死などとも関連しやすく、しかも若い年齢域を表す惑星たちによる小三角も気になります。(若い年齢域:月・水星・金星)
6ハウス海王星=健康上の問題があることが分かります。
3・4番目の王妃
3・ジェーン・シーモア
ジェーン・シーモアは元々は初めの妻・キャサリンの待女であり、その次はアンの待女をしていたようです。(アンの縁戚)
(王宮内での出会いとえば、家臣の娘か侍女くらいでしょうから致し方ないのかもしれませんが(;’∀’))
アンが流産した翌月にはジェーンに対して高価なプレゼントを贈り、兄2人を出世させたことからヘンリー8世の好意が明らかになります。
アンの処刑施行翌日(1536年5月19日の翌日は20日)にはジェーンとの婚約を公表し、翌年1537年には念願の男児であるエドワード6世を出産します。
↓は結婚したとされる日のチャート。
正式な戴冠式は行われていないということですが、「正午は縁起の良い時間」という考えがあったようなので12:00でチャートを作っています。
12:00にチャートを作ると太陽はMCと重なります。
契約(結婚)のハウスである7ハウスを見ると木星・海王星・キロンがあります。
木星7ハウスは資産家との結婚とか幸せな結婚と言われたりするようですが、海王星もあるため相手に対して理想を持ちすぎて幻滅することやキロンによる傷や悲しみを経験することが描かれています。
この時代は海王星やキロンは発見されていませんから、7ハウス木星だけを見ると良い結婚の日取りとして選ばれたのかもしれません。
妻を表す月は6ハウスにあります。
月は満ち欠けするように、不安定さを表し、6ハウスは健康を表す場所ですから健康の不安定さが現れています。
この月は水星と90度を取っています。
そして、1537/10/12待望の男児・エドワード6世が生まれますが、産後の肥立ちが悪くその後死去します。
1537/10/24深夜、29歳。
ヘンリー8世の6人の妻の内、ジェーンシーモアだけがウィンザー城内の王室霊廟において隣に眠ることを許された人です。
こちらはエドワード6世の出生図です。
子どものハウスである5ハウス山羊座にある月は29度にあり、国家としても待望の子どもであることが分かるのですが、この月は12ハウスにある火星天王星と180度、太陽と90度を取っています。
母との別れと解釈できなくもない配置です。
水星・火星・天王星・冥王星からなるTスクエアがあります。
身体的・精神的なストレスを感じやすさと攻撃的な傾向が現れています。
本人の部屋である1ハウスには金星と土星が重なり、身体的な不調や制限があることがわかります。
AC乙女座というと父であるヘンリー8世もAC乙女座でしたね。
[blogcard url=”https://astorologylights.com/%e3%83%98%e3%83%b3%e3%83%aa%e3%83%bc%ef%bc%98%e4%b8%96%e3%81%ae%e3%83%9b%e3%83%ad%e3%82%b9%e3%82%b3%e3%83%bc%e3%83%97/”]エドワード6世は乙女座の支配星、水星はTスクエアの頂点を担っており、この水星は本来のハウスである3ハウスにありますから、様々なことを知ることや学ぶことが楽しかったのではないかと推測します。
興味のある分野に対してとことん追求していく性質は水星蠍座とTスクエアの頂点ということから考えられますが、実際に歴史、地理、宗教、言語を学ぶ中でも地理と宗教を特に興味を持っていたとか。
9歳の時に父が亡くなり、王位に就いています。
父ヘンリー8世のように残忍な性格があったようですが、エドワード6世は16歳で病によりこの世を去ります。
この時、亡くなる間際に後継者としてジェーングレイを指名しています。
ジェーングレイは9日間の女王と呼ばれ、処刑される様子を描いた絵画が有名です。
この時の後継者として、1人目の王妃キャサリンオブアラゴンの娘・メアリー1世、二人目の王妃アンブーリンの娘・エリザベス1世がいますが、母方の祖母がヘンリー8世の妹・メアリー・テューダーであることからそこに目をつけたウォリック伯によって後継者に躍り出ます。
4・アン・オブ・クレーヴス
4番目の王妃、アンオブクレーヴスとの出会いは肖像画。
今の世の中でいうところのお見合い写真のような形で、肖像画を見て気に入ったヘンリー8世は求婚するのですが、わずか半年で離縁されてしまいます。
しかし、アンは強く反対をしなかったからか2軒の家と十分な年金を約束され、「王の妹」という名誉称号を与えられ、王族として生涯大切に扱われたそうです。
これが一番平和かもしれません・・6人いる王妃の中で一番平和な生涯を送っているのがアンオブクレーヴスのみです。
離縁の理由は、肖像画が盛りすぎて実物と違うかったと言われているようですが、その他にも年齢差により、自分より若いアンを見ると悲しくなるからともいわれています。
ヘンリー8世は1491年生まれ(ユリウス暦)に対してアンオブクレーヴスは1515年生まれ(ユリウス暦)ですから計算をしてみると、24歳離れているのですよね・・
「王の妹」という称号を与えているところからも年齢差を実感することがヘンリー8世にとって辛かったのではないかと推測します。
こちらはアンオブクレーヴスが生まれた時のホロスコープ。(出生時刻不明)
月は牡羊座にあり、ヘンリー8世と同じ月星座です。
アンの太陽は天秤座にあり、その近くには火星と水星があります。
天秤座は芸術を表しますから、肖像画を見ての結婚と考えても良いのですが、月とは180度を取るため、結婚をするときは注意が必要ですし、太陽の近くには火星や水星があることから心を傷つけられるようなことがあるかもしれないことがわかります。
実際に結婚した当初からヘンリー8世はあまりアンとの時間は取らなかったようです。
というのも、アン自身はクレーフェ公国の王女として生まれますが、生まれた土地の貴族の英才教育は刺繍であり、言葉もドイツ語しか話すことができなかったようです。
お互い初めて会ったときに起こったと言われているのはこの太陽火星水星合と月の180度が表すのではないかと考えると面白いですね(;’∀’)
しかし、イングランドに住むと決めてからは英語を習得されたようですから、努力家な一面もあることが伺えます。
その土地に住むのだから、覚えて当たり前と思うかもしれませんが、努力を努力と思わず取り組めるのは太陽に対して土星の60度なのではないでしょうか。
アンオブクレーヴスにとって自分の知っている世界から他の世界を知っていく、学んでいく、習得していくことが魂にとっての学びです。(射手座冥王星ーppp双子座)
生まれた場所とは違う国で生涯を暮らすことは勇気のいることだったとは思いますが、6人の王妃の内、最後まで生きた女性(寿命まで生きれた)という立場を評価するならば、天秤座の世渡り上手で機転の利く女性であったということがホロスコープからわかります。
ヘンリー8世はやばい王様だという噂があったようですし、侍女たちも噂話をしていたと思うので全く知らない人ではなかったはず。
離婚を言い渡されても反論せず、政治にも口を出さない女性アンはヘンリー8世の心を打つものがあたのでしょう。
➤結婚した時のホロスコープ・1540/01/16結婚
アンの出生図では蟹座17度に木星がありますが、結婚時のホロスコープでは木星は蟹座22度にありますから、木星回帰した直後の結婚だったのですね。(木星12年で12星座一周、12×2=24歳)
結婚した時のホロスコープは牡羊座にある月とキロンが重なり、水瓶座には太陽金星冥王星水星が重なり合っています。
その反対側には獅子座の天王星があり、天秤座にある火星と土星は牡羊座にある海王星と180度を取っています。
アンの天秤座8度太陽に対して、トランジット(結婚時)の天秤座火星・土星がかさなることになります。
土星には責任という意味があることから結婚時に良く見られる配置ですが、アンの場合はここに衝動や行動を表す火星がありますますから、人間関係・結婚(天秤座)での急な展開や我慢が必要なことが現れています。
ヘンリー8世のホロスコープでは双子座にある金星とトランジットの金星(水瓶座)・火星(天秤座)と120度を取り、グランドトラインを作ることからお互いにいがみ合うような険悪な関係ではなかったことが推測されます。(オーブは緩く見ています)
流れのままそのまま結婚してしまった、という感じかもしれませんがね~(;’∀’)
➤離婚時のホロスコープ・6か月後(1540/06/19)離婚
そして、六か月後離婚しますが、、グランドクロスを形成しています。
活動宮のグランドクロスですが、その当時海王星はなかったので、きっとグランドクラスとして解釈はされなかったことでしょう。
早く次の王妃を見つけて世継ぎを・・!と今にも動き出しそうな配置をしていますが、太陽・月・火星・土星・海王星のグランドクロスからすでに次の候補はいるのではないかと推測します。
実は、アンとの結婚・離婚時には共通点があります。
それは、火星と土星の合なのですが、実はさかのぼること1人目の王妃であるキャサリンオブアラゴンの出生図に射手座土星6度火星9度の合を持っています。
キャサリンが女王の権利をはく奪された時とアンブーリン(2番目王妃)との結婚時に火星と土星は90度を取り、アンの処刑の時に獅子座17度で火星と土星はタイトな合となります。
三番目の王妃ジェーンシーモアとの結婚時は獅子座にある土星と火星は離れていますが、火星は獅子座29度と涙の度数を取り、獅子座=子どもを出産しますがその後亡くなります。
四番目の王妃アンオブクレーヴスとの結婚時には、天秤座で火星と土星が重なりつつある状態で(オーブ6)、離婚時はオーブ1度とタイトな合となっています。
キャサリンオブアラゴンから引き継がれている問題があるのではないでしょうか。
注目ポイントを振り返る
注目ポイント
- イギリス王室は蟹座10度前後に惑星やポイントがある
- 子どもが産めないのは女性の責任という価値観
- ホロスコープ上の月(妻)の状態を観察する
- この時代はユリウス暦(ホロスコープもユリウス暦で見ています)
イギリス王室は蟹座10度前後に惑星やポイントがある
- ジェーンシーモア結婚時ドラゴンヘッド蟹座0度
- アンオブクレーヴス出生時木星蟹座17度、結婚時木星蟹座22度
- アンオブクレーヴス離婚時太陽蟹座7度
ホロスコープ上の月(妻)の状態を観察する
ジェーンシーモアとの結婚時、月は水星と90度を取り、アンオブクレーヴスとの結婚時、月は太陽と90度、木星と90度を取り、離婚時には太陽と月は180度を取り、月と海王星、火星土星とそれぞれ90度を取っています。
90度は葛藤の配置と呼ばれ、ぶつかることで気付くことがあることを示しています。
今回の場合、ジェーンシーモアは待望の男児を産みますが亡くなり、アンオブクレーヴスとはお互いの期待は外れ、夫婦としての営みもあまり期待できるものではなかったのではないかと推測。
王族だから世継ぎを残さなければいけないというプレッシャーは相当なものです。
世継ぎを産むための関係であり、夫婦関係を築くことができない(共感したり、良好な家族関係を築くこと)というのは、現在にもイギリス王室に暗い影として残っているのではないでしょうか。
今回の記事はここまで
イングランド王であり「狂気の王」と呼ばれたヘンリー8世と関わった6人の王妃の内2人について見ていきました。
次回は「イングランド王・ヘンリー8世の6人の妻とトランジットの影響編③」を書く予定です☺
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